10月7日、「道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令」等がの公布等につき、国土交通省より発表されています。

今回の改正は、ハイブリッド自動車の走行音に関する基準の導入等に関するもので、個別の改正点に関しては報道等により既にご存知の方も多いかと思います。

改正項目について

今回の道路運送車両の保安基準(「保安基準」)等の改正項目は以下のとおりです(”「ハイブリッド自動車等の車両接近通報装置」及び「前照灯の自動点灯機能」を義務付けます。 道路運送車両の保安基準等の一部改正について”より(国土交通省ウェブサイト))。

  1. 車両接近通報装置に関する基準の導入
  2. 昼間走行灯に関する基準の導入(国際基準)
  3. すれ違い用前照灯の自動点灯に関する基準の導入
  4. 二輪自動車等に備える連鎖式点灯を行う方向指示器等に関する基準の導入
  5. 直前直左確認鏡の取付け方法に関する基準の明確化
  6. 外装基準の改正及び適用猶予の解除

改正の背景について

改正の背景は以下のとおりです(以下、国土交通省作成資料「道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令等について」より(国土交通省ウェブサイト))。

自動車の安全基準等について、国際的な整合性を図り自動車の安全性等を確保するため、我が国は国際連合の「車両等の型式認定相互承認協定」(以下「相互承認協定」という。)に平成 10 年に加入し、現在、相互承認協定に基づく規則(以下「協定規則」という。)について段階的に採用を進めているところです。

今般、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)第 168 回会合において、協定規則のうち、新たに「静音性車両に係る協定規則(第 138 号)」が採択され、「二輪自動車等の灯火器の取付けに係る協定規則(第 53 号)」等が改訂されたことを踏まえ、国内においても、静音性車両に係る車両接近通報装置の基準及び二輪自動車等に備える連鎖式点灯を行う方向指示器等の基準を導入します。また、「デイタイムランニングランプ(昼間走行灯)に係る協定規則(第 87 号)」について、新たに採用することとしました。

さらに、前照灯の自動点灯(オートライト)機能に係る基準や座席ベルト等の設置が免除されている座席(折りたたみ座席等)に任意装着されている座席ベルト等に係る基準の新設及び直前直左確認鏡等の取付け方法の明確化等を行います。

このため、道路運送車両の保安基準(昭和 26 年運輸省令第 67 号。以下「保安基準」という。)、装置型式指定規則(平成 10 年運輸省令第 66 号)、道路運送車両法関係手数料規則(平成 28 年国土交通省令第 17 号)、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(平成 14 年国土交通省告示第 619 号。以下「細目告示」という。)等について、所要の改正を行うこととします。

保安基準等の改正の概要について

今回改正のうち、保安基準等の改正の概要は以下のとおりです(詳細は「道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令等について」をご覧ください)。

(1)車両接近通報装置に関する基準の導入

ハイブリッド自動車等の走行音について、WP29 における「静音性車両に係る協定規則(第 138 号)」の採択を踏まえ、以下のとおり基準を新設します。

【適用範囲】
○ 電力により作動する原動機のみによる走行が可能な自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)

【改正概要】
○ 歩行者等に自動車の接近を音で知らせる車両接近通報装置について、「静音性車両に係る協定規則(第 138 号)」の性能要件に適合するものを備え付けなければならないこととします。
○ 車両接近通報装置については、運転者による解除ができないものでなければならないこととします。

【適用時期】
新 型 車:平成 30 年 3 月 8 日
継続生産車:平成 32 年 10 月 8 日

(2)昼間走行灯に関する基準の導入

昼間走行灯について、「デイタイムランニングランプ(昼間走行灯)に係る協定規則(第 87 号)」を新たに採用し、以下のとおり基準を新設します。

【適用範囲】
○ 自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)

【改正概要】
○ 灯光の色及び明るさ等に関し「デイタイムランニングランプ(昼間走行灯)に係る協定規則(第 87 号)」の要件に適合し、かつ、取付位置及び取付方法等に関し「灯火器の取付けに係る協定規則(第 48 号)」の要件に適合する昼間走行灯を備えることができることとします。

(3)すれ違い用前照灯の自動点灯に関する基準の導入

すれ違い用前照灯(ロービーム)について、以下の基準に適合する自動点灯(オートライト)機能を有さなければならないこととします。

【適用範囲】
○ 自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)

【改正概要】
○ すれ違い用前照灯(ロービーム)について、以下の要件に従って、周囲の明るさ(照度)に応じ、自動的に点灯及び消灯する機能を有さなければならないこととします(※1)。また、このうち、自動点灯に係る機能については、手動による解除ができないものでなければならないこととします。
※1 走行用前照灯又は前部霧灯を点灯している場合及び自動車が駐停車状態にある場合等を除く。

すれ違い用前照灯の自動点灯及び消灯に関する要件(※2)

周囲の照度 すれ違い用前照灯  応答時間
1,000lx 未満 点灯する 2秒以内
1,000lx 以上 7,000lx 以下 -(※3) -(※3)
7,000lx 超 消灯する  5秒超 300 秒以内

※2 「灯火器の取付けに係る協定規則(第 48 号)」におけるすれ違い用前照灯の自動点灯及び消灯機能と同等の要件
※3 自動車製作者の定めるところによる。

【適用時期】

自動車の種別 適用時期
(新型車)
適用時期
(継続生産車)
専ら乗用の用に供する自動車であって乗車定員11 人以上のもの及び貨物の運送の用に供する自動車であって車両総重量 3.5t 超のもの 平成 33 年 4 月 平成 35 年 10 月
上記以外の自動車 平成 32 年 4 月 平成 33 年 10 月

(4)二輪自動車等に備える連鎖式点灯を行う方向指示器等に関する基準の導入

二輪自動車等に備える連鎖式点灯を行う方向指示器等について、WP29 における「二輪自動車等の灯火器の取付けに係る協定規則(第 53 号)」等の改訂を踏まえ、以下のとおり基準を新設します。

【適用範囲】
○ 二輪自動車、側車付二輪自動車及び三輪自動車並びに原動機付自転車

【改正概要】
○ 灯光の色及び明るさ等に関し「二輪自動車等の車幅灯、番号灯、尾灯、制動灯及び方向指示器に係る協定規則に係る協定規則(第 50 号)」の要件に適合し、かつ、取付位置及び取付方法等に関し「二輪自動車等の灯火器の取付けに係る協定規則(第 53 号)」の要件に適合する連鎖式点灯を行う方向指示器等を備えることができることとします。

【適用時期】
新型車、継続生産車:平成 31 年 10 月 8 日

(5)直前直左確認鏡の取付け方法に関する基準の明確化

直前直左確認鏡等(※4)の取付方法について以下のとおり基準を明確化します。
※4 自動車の直前及び直左(左ハンドル車にあっては直右)の周辺状況を確認するための鏡その他の装置をいう。

【適用範囲】
○ 自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)

【改正概要】
○ 直前直左確認鏡等について、容易に取り外せないよう、溶接、リベット、ボルト・ナット等によって確実に取り付けなければならないこととします。

【適用時期】
○ 平成29年1月1日以降の製作車より適用

(6)外装基準の改正及び適用猶予の解除

外装基準については現在適用を猶予しているところですが、以下の通り規定を改正した上で、平成 29 年4月1日以降適用することとします。

【適用範囲】
○ 乗車定員 10 人未満の専ら乗用の用に供する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)であって、平成 21 年 1 月 1 日以降に製作されたもの

【改正概要】
○ 型式指定時等には「乗用車の外部突起に係る協定規則(第 26 号)」に適合しなければならないこととします。
○ 車検時等には「鋭い突起を有し、他の交通の安全を妨げるおそれのないものでなければならないこと」を要件として課すほか、自動車の最外側から突出するアンテナ及び外開き式窓並びにホイールのリムの最外側から突出するホイールナット等を禁止することとします。

【適用時期】
○ 平成 29 年4月1日

(7)その他

○ 既に日本が採用している各協定規則について、項目の整理等に伴う改訂がなされたこと等を踏まえ、必要な改正を行います。

以上、詳細につきましては、官報及び国土交通省ウェブサイトをご覧ください。

参考

  • 官報、平成28年10月7日付け、号外第222号、https://kanpou.npb.go.jp/20161007/20161007g00222/20161007g002220000f.html
  • 「ハイブリッド自動車等の車両接近通報装置」及び「前照灯の自動点灯機能」を義務付けます。 道路運送車両の保安基準等の一部改正について”、平成28年10月7日付け報道発表資料、国土交通省ウェブサイトhttp://www1.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000220.html
  • ”「道路運送車両の保安基準」、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」等の一部改正に係る意見募集について”、e-gov、http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155160930&Mode=0&fromPCMMSTDETAIL=true
  • ”「道路運送車両の保安基準」、「装置型式指定規則」、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」等の一部改正に係る意見募集の結果について”、e-gov、http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155160930&Mode=2